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解決事例

配偶者居住権を活用した自宅相続のケース

2026年3月

ご相談時の状況

被相続人
相続人 妻、長男、長女
相続財産 ・自宅(土地・建物) 4,500万円
・預貯金 2,800万円
・有価証券 1,200万円
・生命保険 1,000万円

ご相談内容

夫が亡くなり、妻はこれまで暮らしてきた自宅にそのまま住み続けたいと希望していました。一方で、相続人である長男・長女としては、将来的な不動産の管理や相続税の負担も踏まえ、どのように遺産分割を進めるべきか悩まれていました。

自宅を妻がそのまま取得すると、他の財産とのバランスが取りにくくなる可能性があり、子どもたちとの公平性をどう確保するかが課題でした。そこで、自宅の所有権そのものではなく、妻が住み続ける権利を確保しながら、他の相続人との分割のバランスも図れる方法がないかご相談いただきました。配偶者居住権はこのような場面で活用が検討される制度です。

実施した内容

■財産の把握と整理
まずは不動産、預貯金、有価証券、生命保険の内容を確認し、相続財産の全体像を整理しました。特に自宅については、土地・建物を分けて確認し、今後の分割方法を検討しやすいよう一覧化しました。

■配偶者居住権の活用可否の確認
妻が相続開始時に夫所有の自宅に居住していたことを前提に、配偶者居住権を設定できるかを確認しました。そのうえで、妻が居住を継続しながら、建物や敷地の権利関係をどのように整理するかを相続人全員へ丁寧に説明しました。配偶者居住権は当然に発生するものではなく、遺産分割や遺贈などによって定める必要があるため、その点も含めて実務上の流れを整理しました。

■遺産分割案の作成
妻には配偶者居住権を取得してもらい、長男には自宅の負担付所有権、長女には預貯金や有価証券を中心に取得してもらう案を作成しました。これにより、妻の居住の安定を確保しつつ、子どもたちの取得財産の偏りを抑える形を目指しました。

■相続税評価の確認
配偶者居住権を設定する場合は、建物そのものの価額ではなく、配偶者居住権、居住建物、敷地利用権、土地の各価額を区分して評価する必要があります。そのため、国税庁の評価方法に基づいて試算を行い、遺産分割後の税負担も見据えた提案を行いました。

■遺産分割協議書および登記手続き支援
配偶者居住権の内容、存続期間、自宅の所有者となる相続人を明確にした遺産分割協議書の作成を支援しました。あわせて、今後の権利関係を明確にするため、登記手続きまで見据えて必要書類の整理を進めました。配偶者居住権は登記によって第三者対抗要件を備えるため、実務上も早めの手続きが重要です。

提案のポイント

■配偶者居住権の活用
配偶者居住権は、令和2年4月1日以後に開始した相続から利用できる制度で、相続開始時に配偶者が被相続人所有の建物に居住していた場合などに、遺産分割や遺贈によって取得することができます。配偶者が居住を継続しながら、自宅の所有権は別の相続人が取得することもできるため、生活の安定と遺産分割の調整を両立しやすい制度です。

■権利関係の明確化
配偶者居住権と自宅の所有権を分けて整理することで、誰が住み続け、誰が将来の所有者となるのかを明確にでき、後日のトラブル予防につながります。

■相続税評価を踏まえた分割設計
配偶者居住権は通常の不動産相続とは評価方法が異なるため、事前に試算を行うことで、相続人ごとの取得財産と税負担のバランスを取りやすくなります。

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