2024年10月

ご相談時の状況

[被相続人]夫
[相続人]妻、長男、長女
[相続財産]
・現預金　　　　 3,000万円
・自宅　　　　　 6,000万円
・地方の未分割の土地　1億円
・貸借マンション　1億円
・有価証券　　　 1,500万円

ご相談内容

夫が急逝し、相続税の申告が必要になりましたが、相続財産に含まれる地方の未分割土地についての処理に悩んでいました。この土地は複数人で所有しており、他の共有者と話し合いがまとまらず、分割が難しい状態にありました。妻は、未分割の土地が相続税申告にどう影響するか、適切な対策を知りたいとのご相談を受けました。

実施した内容

相続財産の全体評価と状況整理

未分割の土地を含む全財産の評価を行い、申告の基準となる相続財産額を確定しました。この際、未分割の土地についても共有持分の評価を適切に行いました。

未分割土地に関する特例適用の検討

未分割の土地については、相続開始後に分割協議が難航している場合でも、相続税申告は期限内に行う必要があります。そのため、特例として「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署に提出し、期限内に分割が成立しなかった場合でも、一定の条件を満たすと分割後に適用可能な特例（小規模宅地の特例や配偶者控除）を活用できることを提案しました。

他の相続財産の分割協議サポート

未分割の土地を除く他の財産（現預金、不動産、有価証券）については、妻と子供たちで分割協議を進めました。特に、賃貸用マンションの管理については、今後の維持費や収益分配を考慮した分割方法を提案し、全員が納得できる形での遺産分割協議作成をサポートしました。

提案のポイント

「申告期限後3年以内の分割見込書」は、相続財産が分割できていない（未分割）の場合でも、相続税申告を期限内に行うために提出する書類です。主に、相続財産の一部が未分割である場合に使用されます。典型的なケースは、不動産が共有状態のままで、相続人間で分割協議がまとまらない場合です。
分割が未確定な財産がある場合、申告時に特例を適用できないため、この見込書を提出することで、将来的に分割が成立した時点で特例を遡って適用できるようになります。

「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出することで、相続税申告時に未分割の財産に特例が適用できなかった場合でも、分割が後日成立すれば特例を遡って適用することが可能になります。これにより、相続税の負担を軽減できるチャンスを残しておくことができます。この見込書は、相続財産の一部が分割できていない場合の重要なツールですので、適切なタイミングで提出することが重要です。

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